学生のダイビングについて、これで10回になってしまった。もう少しお付き合い願いたい。幸いにして、こんなことは面白く無いだろうという僕の心配をなにかと励ましてくれる方たちがいる。
それぞれの大学、何がしかの問題を抱えている。報告書のためのアンケート調査をみたら、学習院大学も、3年1名女子、2年1名男子、宮崎監督、そしてコーチもいる。これでは、学連のことなど考えていられなかっただろう。若いOBということは今年の4年だろうか、力を注いでくれて、1年は男子5名、女子4名と理想的な形になった。ようやく、今年、今度のパネルディスカッションにも出ていただくことができた。
海洋大学にしても、OB会からシンポジウムに出てきてくれたOBは、ゼロで、とうていそこまでは手が回らない。SAIをやっていた時、OB会が相手にしてくれなかったこともうなずける。
監督、コーチにしても、自分の部で精一杯、そして、監督とかコーチとか定めていても、現役学生の合宿とかツアーのすべてについていけるものでもない。今年度、芝浦工大の足立顧問は、八丈島合宿を許可しなかった。足立先生の場合は、現役との直接的な接触、つまり一緒に潜水したり教えたりする事が多いので、見知って、肌で感じている学生の実力、そして心構えを把握しているから、計画書を見て、これは無理と判断したのだろう。
何も見ない顧問は盲判を押すしかない。学生の自主性は尊重したいけれど、やはり、責任を持って判断するスーパバイザーが必要だ。
そんな状況を踏まえて、12月29日にパネルディスカッションにでてくれたメンバープラスαでミーテイングが開かれる。時期も時期なので、学生の参加は前学連委員長の筑紫君だけだ。彼もすでにOBだから、現役は一人も参加できなかったことになる。
しかし、とにかく監督、コーチ、OB会長が集って、会議を始めることができるようになった。僕としては、ようやく年来の目標がひとつ達成できた。
これがどういう組織になり、どういう名称になるのか、自分なりの考えは持っているけれど、それは出さずに、バトンタッチをしよう。ただ、海洋大学はOB会からの出席がないから、その役割を果たすことはできる。組織が決まれば、そこでの集まり、シンポジウムもできるだろう。状況によっては、日本水中科学協会と共済でも良い。学習院、芝浦、中央、法政、海洋大学、今回集まる5大学、司会をしてくれた高野くんも日本水中科学協会の会員である。
残った問題、ペンディングになっているのは、サークル、同好会と学連加盟の部の問題だ。
先日の海洋大学OB会の忘年会で、現役今度三年の岩田くんと、サークルと部活動の問題について、語り合って、ずいぶんいろいろなことがわかり、自分の考えをまとめる、まだまとまってはいないが、ある程度、形づくるのにずいぶん役に立った。もう一度、ここで海洋大学のダイビングサークル「アビス」についてネットからコピーしたものを出そう。
東京海洋大学非公式ダイビングサークル”abyss..."へようこそ!
「ABYSSは、東京海洋大学の学生を中心に活動しているダイビングサークル。
スキューバダイビングを通じて、海を全身で感じることの素晴らしさを伝えるため、2004年に設立されました。主な活動場所は、真鶴(神奈川県)・伊豆半島。現在のメンバーは約80人。男女比はほぼ1:1です。
スキューバダイビングのみならず、イルカウォッチングをはじめとしたスキンダイビング(素潜り)も積極的に行っています。
また、サークルメンバーの海外研修先は実に多彩。サイパン、パラオ、フィリピン、タイ、インドネシア、エジプトなど…さすが、といった感じです。
ライセンス取得は個人の自由ですが、ステップアップを目指す学生は、1年生の6月にOW(オープンウォーターダイバー)、10月にAOW(アドバンスドオープンウォーターダイバー)、12月にレスキューダイバー、そして春休みに海外でDM(ダイブマスター)の資格を取得する流れが多いです。」
学生がダイブマスターになり、インストラクターになって、教えている。順繰りに上級生がインストラクターになって行く。全員がPADIだから、PADIのシステムが大学の中にあると思えばいい。
学生スポーツではなくて、商業スポーツだといったけれど、純粋商業スポーツでもないし、もちろん学生スポーツではない。ハイブリッドであって、かなり上手くできている。
多分、海洋大学の潜水部では、面白さ、楽しさでは負けると思う。
そして、安全については、潜水部の方が安全だなどというのは思い上がりで、事故死のチャンスは同じようなもので公平だ。その事故の場合、アビスは、PADIのインストラクターの事故処理で解決してしまう。一方、潜水部の方は、それでは済まない。学校当局としては、タイトルに非公式と書いているのだから、どうにもならないし、責任を取る必要もない。アドバンテージは向こうにある。
多分、学連でも、同じようなクラブになっている加盟校もあると思う。
岩田くんは、アビスはダイブマスターが中心であり、PADIのインストラクターも何人かいる。こちらは、単なるC-カードだ。学内では見下されているようだ。
向こうから見れば、こちらは馬鹿に見えるだろう。
では、どうすればいいのか。
この問題についても、OB会が本気になって取り組んでやらないといけないと思う。こちらのアドバンテージは、歴史とOB会だけなのだ。海洋大学については、OB会を作っておいて良かったと思う。
では、具体的にどうすればいいのか。それぞれの大学、それぞれのOBで考え方は違うと思う。僕の意見はあくまでも私見だが、こちらにあるものを生かさなければいけない。
①OBと現役との付き合いをできるだけ親密にする。その中でダイビングについても、人生についても、教えられることがあれば、教えてあげる。僕はそうするつもりになっている。
② 体育会系とサークル系の違いを、良い意味で作ってゆく、酒の一気飲みとか「オース」という挨拶などはマイナスだ。きちんとした人間関係を作る修練ができるようにする。JAUSの中尾先生(早稲田大学教授)がいいことを言っていた。現在の学生は、就職に有利になること以外に良いことだとは思わない。就職についてのアドバンテージをつけることで学生は集まる。良い体育会系が、仕事にも人生にも有利だということを、自覚させ、アッピールする。サークル系、軽薄、体育会系、ピシっと礼儀正しい。
③伝統を誇りに思えるような、伝統にしてゆかなくてはいけない。
④フリッパー競泳などを通じて、学連の活動をきっちりと、しっかりやってゆく。足立先生の発表で、学連が、本学のためになるのか、という言葉があったけれど、それを考えてもらいたい。古びた言葉だけれど、各大学は学連のために何ができるのかを考えて、学連という活動の場をしっかり固めて置くことが、それぞれの学生の活動を広げ、それが本人のためになると思う。学連とは、学生の社会的な活動の場であり、トレーニングの場になるようにしなければいけない。そうなるように、ここでも学連のOBが、何かをしてあげなければいけない。
要するに、サークルと部活動の違いは、もちろん、部活動が楽しいものでなければいけないが、楽しさの上に、本人、自分たちの人生のためになるのだ、ということよりほかに、僕には思いつかない。そして、常に最悪の事態を予測して努力して、活動する3年間というものは、商業スポーツ的サークル活動では、身につかないものが得られる。
サークル活動というものが、競争者としてあることを、自分を磨くために良いものだと思う必要がある。つまり、サークルがあるために、自分たちのあり方を真剣に考える事ができる。でなければ、こちらも非公式サークルになってしまう。
海洋大学潜水部について言えば、サークルのダイブマスターなど、足元に寄れない、技術的アドバンテージを持ってもらいたい。