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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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0709 豊潮丸での読書

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旅もおわりに近づいていて、あと一回、瀬戸内海の入口に近い小水瀬島に潜るだけとなった。不規則な睡眠で早く寝るから、夜中に起きる。起きると本を読む。自分で何かを書くということは頭が働かないのでとても難しい。受動的に読むことならばできる。

「コンニャク屋漂流記」星野博美 文春文庫 2014
 星野博美はカメラマンであるとともにノンフィクションを書いていて、「転がる香港に苔は生えない」を読み、「謝謝!チャイニーズ」を途中まで読んだ。コンニャク屋漂流記は彼女のルーツがある、千葉県岩和田のこと、岩和田から出て東京の戸越にねじ切りの町工場を作った祖父から続く自分の一族のことを書いたものだ。写真家であるのに、このコンニャク屋では、自分の撮った写真を一枚ものせていない。ノンフィクション作家としての自信を深めたからなのか?そして読了はしたし、面白かったとは思うが、写真が入った方が良かったのか、それとも写真にはしにくかったのだろうか。たしかに、写真を使わない方がイメージが広がるということもある。僕の目指しているところも、写真を使わないで文章で海の中を表現することだが、写真を並べる方が楽だし、理解しやすい。
嘘のように揺れなかった豊潮丸が揺れだした。日本海から紀伊水道に入ったのだろうか、揺れると書けないので、横になってまた寝る。今5時23分だ。
6時23分、波がおさまった。あと1時間足らずで関門海峡。
「コンニャク屋漂流記」の岩和田は、僕も何回か行ったことがあり、思い出も少しばかりある。僕の岩和田と本の岩和田はほとんどオーバラップしない。どちらかといえば戸越の方がよく描かれているように思う。

境港では船の停泊した岸壁の近くに大きなスーパーがあり、買い出しに行き、雑誌「NUMBER この4年間は間違っていたのか・ザックジャパンの敗北」を買った。勝利の記録より面白かった。たしかにザックの戦術は間違っていたかもしれないが、FIFAの日本のランク相当の結果であり、勝ち抜く云々は本田が夢を語り、選手もその気になり、マスコミもその気になって夢をみた。そして、夢に向けて頑張った結果でありザックの責任ではないが、ザックが続ける意味もない。日本人監督にして、グループリーグ突破に目標を置いた方が良いだろう。

「地図の無い場所で眠りたい:高野秀行 角幡唯介、講談社 2014」も読了した。角幡君は、僕の潜水の弟子であり、お台場でもトレーニングして、荒川の取材をした。面白くて、たちまち読了した。高野秀行は片手間に書いたらしい「ワセダ三畳青春期」が面白かった。角幡君の「空白の5マイル」「雪男は向こうからやってきた」を読んでいる。
その角幡君がすごいことを書いている。
「冒険と探検と何が違うのですか」とよく聞かれるんですけど、僕は探検とは基本的に土地の話だと思っているのです。その場所がどうなっているのかということ。いっぽうで冒険というのは人の物語、主人公は自分であるというストーリー」グラフィティを書いていて、冒険と探検の違いにさんざん迷ったけれど、この言葉はわかりやすく納得できる。
僕は、冒険とは主観的なもので、その人が冒険だと思えば冒険になる。79歳の豊潮丸潜水は、自分としては大きな冒険である。探検とはその人にとって未知の世界を訪れることであり、ダイビングとは水中探検といえる。

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