Quantcast
Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1388

0707 豊潮丸航海

$
0
0
  200トンの豊潮丸からの潜水は、一般のダイビングとは違い、かなり変則的なものだといえる。本船は岸に近づけないから、本船からのエントリーは、特別な場合、たとえば水深50m以上の潜水などを除いて、まず考えられない。早稲田大学先進理工学部 中尾教室の場合は、無脊椎動物の採集であり、学生も参加するから、豊潮丸から深く潜水することはまずない。
 ゴムボートを下ろして、ダイビングポイントまで行く潜水になる。普通、ゴムボートからのダイビングは、ゴムボートが気泡を追って直上にいる形になるが、僕たちの場合は、広島大学のスキンダイビングによる海藻採集と並行するので、ゴムボートは、スキンダイビングのチームを岸に送り届け、岸からエントリーし、そして岸に迎えに行かなくてはならない。一つの場所での潜水、つまり一回は大体1時間で、準備を入れて2時間、だからスキンダイビングと僕たちのスクーバダイビングを並行して行わなければならない。つまり、ゴムボートは、僕たちの頭上を離れる。
 僕がかかわった最初の航海では、スクーバも岸に上陸して、岸からのエントリーにしていた。これでは、行動が制限されるし、危ない場面もある。別のゴムボートを曳航して行き、ポイントに止めて、これをベースにする方式とした。これならば、エンジン付きのゴムボートは、現場を離れて、たとえば1時間後に迎えに来る方式で潜水できる。2台のゴムボートも最初のときは、ロープで曳航したが、うまく行かず、舷を接して横付けて走るようになり、このシステムが確定した。

 もう一つ、この潜水は豊潮丸の空気充填能力が120キロまでしかないことである。コンプレッサーの能力は200までつめられるが、充填効率が良いのは120キロまでであり、150にすると、午前と午後、3時間ぐらいの間に10本の充填をして、一日2回の潜水は不可能になる。船員の負担も大きくなるので、120キロまでとされている。50キロ余してエキジットなど考えられない。20まで残して浮上ということになる。かなり特異なスタイルであるが、これを基本にして海況を判断して行動を決定する。

 0706
隠岐の島前別府港(西ノ島町・黒木)を出て、途中、知夫里島古海 というところで潜水する。
 0800隠岐の島、西ノ島町 島前別府港を出港、0830潜水準備
潮の流れを心配していたが、入り江に入り込んだところで潜水したので、ほとんど流れもなく穏やかだった。晴れ。
 潜水、4回目、ようやく慣れて、気分よく潜れるようになったきた。かいていは一面のモク(ホンダワラの類)で美しい。チャガラ、スズメダイ、マアジの群れ、モクの中に入り込むようにしてオハグロベラが点々と。


 天候は、薄く陽もさして、本当に穏やか、海の中も穏やかで気持ちよく泳げるが、肝心の無脊椎動物、海綿の類が見当たらない。ぐるっと回って戻り道、残圧が70ぐらいになってから、海綿の多い岩が見つかった。石橋君の採集に付き合った。彼にとっておそらく初めて採集する海綿なのだろうか、ライトをあてて、見守る。結構手馴れていて、しつっこく採集している。ナイフで切り取って剥がすだけだから、別にむずかしい技術がいるわけではない。

 僕の残圧が30になった。二人はまだ50ぐらいあるのだが、僕は水面に出てゴムボートの位置を確認して、水面をスノーケルで泳いでもどる。北大のチームが先に浮上して、エンジン付きボートで戻って行き、僕たちは残されたが、水面に浮いているだけで楽しい。

 潜水④
 潜水開始0923 浮上1005 潜水時間42分 水温22.6度
 最大水深 11.4m 平均水深7,2m 透視度20m

 今日の潜水はこれで終了。境港に向かう。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1388

Trending Articles