Quantcast
Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1388

TG-2 チューニング

$
0
0
 チューニングする。テレビでは選局の事だが、僕たちは道具を体に合わせることを言う。カメラもチューニングしなければ使いこなせない。今は、オリンパスTG-2をチューニングしている。なかなか難しい。フィルム時代、僕はニコノスⅤ、20mm広角レンズのカメラマンだった。つまり、チューニングが上手くできていたということだ。TG-2にワイドコンバージョンを付けると、35mm換算で19mmになると福ちゃんに聞いた。それで、このカメラを買うきもちになった。TG-3がでたのに、なぜ2だと言えば、2を買った方がやすいし、僕はこのコンバージョンで19mmになれば良いわけだから、2で良い。GoProも2を4台、3が1台だ。2の方がチューニングができているから、使いやすい。それに色も2の方が好きだ。しかしこれは、PCに入れてから調整できるはずだが、そんなソフトも持っていないし、そんな面倒なことはいちいちやってられない。
 ニコノスは、絞りにシャッタースピード、距離合わせも手動である。絞り優先のオートもあったはずだが、使った記憶がない。その頃には、人工光源としてストロボを光らせていた。ストロボを光らせると、シャッタースピードは自動的に1/90になる。だから常に1/90で撮る。絞りだけを5.6か8のどちらかを選択する。これは、と思った時にはこの両方で撮っておく。ストロボはニコン105で1/4の光量で光らせる。距離は手動で合わせるが、ニコノスのレンズはどこからどこまでピントが合うか、被写界深度が表示されるから、40cmから70cmの間、1.5mから無限大、二つのゾーンを決めて置いて、魚は40-70、ちょっと離れたら、1.5-無限大にする。このピント合わせについては、感覚的に身につくまで練習しておく。まだまだたくさんあるが、自分用にマニュアルを書いておいたので、いまでもこのように書くことができる。それでも写真は失敗の山を築く。山が大きいほど、選び出す1枚の質が向上する。35mmフィルムは36枚撮りだが、1台では失敗の山が小さい、大体の場合、一回の潜水で、2台、72枚を撮る。二台にストロボが2台ずつだから水中では、かなりの荷物になる。仕事でなければ1台で済ましたい。
 これが僕のチューニングであり、カメラマンはそれぞれ、自分のスタイルをもっているはずだ。ニコノスを使わなくなって、もはや10年以上の歳月が流れている。
 
 さて、TG-2だが、デジタルカメラはすべてオートである。被写体に向けてシャッターを押せば、自動的にすべてが解決する。しかし、自動的だから、自分の意志でコントロールすることができない。自動か手動化は、自分の意志でコントロールできるかできないかなのだ。それでもカメラマンは、人は、自分の意志で機械をコントロールしたい。自動をコントロールする。考え方によっては、自動をコントロールすることの方が難しい。
 TG-2では、カメラの背にあるダイヤルで、設定を変えるのだが、p:プログラムオートにしておけば自動的にその状況に合わせたプログラムを自動的に選定してくれる。これですべて解決ならば、チューニングの心配はない。すべてカメラ任せである。しかし、デジタルカメラには。ほぼ無数の選択肢がある。これを全部書けば、添付されているマニュアルになる。ところで、このマニュアルも不十分だから、多分、一冊の本になってしまうだろう。そんなものをここで書いている時間はない。一つだけ、SCN,これはシーンに合わせて撮影設定がプログラムされている。これをまず使いこなさなければならない。TG-2は水中撮影を一つの目標にしているから、水中スナップ、水中ワイド1、水中ワイド2、水中マクロ四つの設定がある。とりあえずこの4つの設定と、これらの設定を自動的に決めてくれるP の五つは使いこなせないといけない。使いこなすとは、例えば水中ワイド1を選択すれば、どういう風に撮れるかを把握していて、それを選択できることである。
 このチューニングは容易ではない。容易ではないから、使いながら経験的に覚えて行くほかない。先に挙げたニコノスの手動より難しい。適当にやれば、つまり全部P にしてしまえば簡単だが、やはり、すべての機能をつかいこなしたい。

 実は、これまで、この手のコンデジを何台も持っているが、その機種で全部違う。その点では手動はほとんどの機種で同じだから、一つ覚えれば、それで応用ができる。だいたいは同じだけれど、使いこなすためのSCN が全然違う。
 手動か自動かの問題は、そこにある。潜水で言えば、最近のリブリーザーは素人でも易しく使えるようにすべては自動化される傾向にある。そこで、自動化のチューニングの難しさが、命に係わる問題として出現する。タンクにレギュレーターを取り付けて、マウスピースを口に咥えて呼吸すれば良いだけの原始的スクーバをも使いこなせないのに、機種によっていちいち違う自動化リブリーザーを潜水のシーンに合わせてコントロールしなければいけない。


 誤解されるといけないので言っておくが、自動化されたリブリーザーは、時間と経験を重ねて到達した素晴らしい潜水機だが、自動化だから安全、だれでも気軽に使えるとは言えないとおもう。覚悟を決めて根性を据えて練習しなければ使えない。

 スクーバ潜水とは、マンマシンシステム、人と機械が一体化しなければ危険である。しかも、リブリーザーのトラブルは、ガスの微妙な変化だから、空気が来るか来ないかだけの単純なトラブルではない。自分で気づかないで死ねるという幸せな機械である。自動化すればするほど、チューニングを慎重にして、使いこなせなければいけない。カメラのチューニングも途中であきらめる人にとって、自動化されたリブリーザーは危険だ。なお、危険だからあきらめるという人は、高度なダイビングにはむいていない。テクニカルダイビングはあきらめた方がいい。危険だから練習を重ね、習熟するのが21世紀のダイバーである。僕は20世紀のダイバーだから、そして、70歳の時に手動のリブリーザーを練習したが、習熟に至らないうちに、資金が尽きた。節約はリブリーザーでは、直接に命にかかわってくる。炭酸ガス吸収剤についても、酸素センサーにしても節約は致命的なのだ。海辺に本拠を構えて毎日潜水できる人は別として、海に練習に行くためにはお金と時間がかかる。お金があり、習熟するまで海に行ける人がリブリーザーダイバーの条件である。僕はお金も無いし、海にもそんなに頻繁には行かれない。それに70歳は、もうケアレスミスが多くなっていた。ケアレスミスが命に係わるのがリブリーザーである。撮影のように失敗を山に重ねる和歌には行かない。一回の失敗が命取りになる可能性がある。
 中川隆は、現役のプロカメラマンだから、リブリーザーをあきらめるわけには行かない。生活とステイタスがかかっている。懸命に練習に励んでから、5年以上かかっている。いや、もしかしたら10年か、たしか、100mぐらいの撮影と、今はメキシコかどこかのセノーテ(泉)の撮影に行っている。この道のとりあえず現在の達人である田原君をアシスタントに頼んで同行している。僕と同じで、馬鹿なようでいて慎重な男なのだ。
 CPはめちゃめちゃに悪いが、ステイタスがかかっている。ステイタスが保てなければ、仕事にならないのがこの世界だ。
 
 TG-2から遥か脱線してしまった。今日は浦安でのスノーケリング教室の撮影でTG-2のチューニングを見ようと思って書き始めたのだが、それは明日にしよう。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1388

Trending Articles