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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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0502 潜水士読本

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飛行士気質と潜水士気質

潜水読本 山下弥三左衛門 東亜潜水機 成山堂印刷 昭和35年7月
山下先輩は、大正3年、東京水産講習所卒
鰤定置網自営、昭和3年 一等潜水士
御前潜水、講話、陛下御前研究資料潜水採集御下賜金13回
潜水士養成 2000名 潜水病の研究(治療特許)
昭和11-12年 南洋パラオ島沿岸海底映画潜水講習撮影
 この潜水読本は、当時の潜水のことが何でも書いてある。減圧表も米国海軍を始めとして、英国の表、バルデーンと記された、ホールデンの表も掲載されている。他にも人工魚礁の研究書、など十冊以上の本を著している。大先輩である。決してでたらめを書いているのではない。


 その一節に飛行士気質と潜水士気質と題して
熟練技術の領域を誇る飛行士は豪胆なる離れ業をもって他の追従も及ばぬ冒険を観光し、危機を脱却して平然たる勇姿にモノを言わせ、落下傘にて危険を一度、二度、三度と切り抜けた始めて一人前になり、荒鷲の仲間入りが出来ると言われている。
潜友仲間でも二度、三度と潜水病の危機を逃れてその放胆なる人間放れの洗練された技術が認められて始めて潜水技術者の特権階級に進む。汝は潜水病に幾度かかったかと尋ねられる。三度やった。それでは一人前だということになる。潜水病の死線を越えて心身ともに洗練され超然たる態度によるその度胸が物を言うのである。

この本が出された、昭和35年は、僕が東京水産大学を卒業して、東亜潜水機に入社した年である。この本は、成山堂書店から、別に出版されていたものを、東亜潜水機で版権を買い、販促のために別刷りを作って、お得意さんに配ったものである。僕は大事にしていて、特に減圧表は、僕の持っている古い表として、唯一のものである。水深はメートルではなくて、尋、と尺で現してある。18尋から20尋に10分もぐると20尺で3分、10尺で5分停止する。現在の減圧表よりも安全なように思える。だから、潜水病について無知だったわけでは決してない。肩書きにも潜水病研究と記されている。治療特許とも書かれている。
 潜水士気質については、潜水病など恐れるなといういましめであろう。
 まさか誤解はしないだろうが、これは僕の考えではない。

その本の出版社成山堂書店から、僕にニッポン潜水グラフィティがでる。
昨日、成山堂書店でその本の打ち合わせとインタビューをした時にこの本の話がでた。どこの出版社でもそうだろうが、その本やが出した本は保管しておく、成山堂書店にもまだ残っているが、一冊だけであり、いただくことはできない。

僕のところに残っているのが写真である。 アマゾンで念のために調べたが、なかった。

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