東大の浦 環教授の退官記念講演があり、探検部のOBで、浦先生の弟子である岩上君からお誘いの通知をもらった。教授のご専門は、AUV 自律型海洋探査ロボットで、海洋探査の最先端である。興味深いので行くことにした。場所は、駒場東大前の東大生産技術研究所である。自分たちJAUSで、シンポジウムをやり、幾つかの研究集会をやるようになって、このような講演会、にはなるべく見て、聴くようにしている。浦教授は、この秋に柏の海洋研に聴きに行った定期的な研究集会の主催もされていて、研究会展開のプロ中のプロである。僕は、この展開をこの歳になって学んでいる。
退官教授の講演会は浦先生一人ではなく、5人ぐらいが合同だ。
もっとこじんまりとした会かと思ったが、大きな講堂が満員で立ち見がでている。
いわゆる海洋ロボット、無人探査機は、ケーブルでつながっていて、船の上から遠隔操縦するROVは、すでに完成された技術であり、小はビデオレイ、大は「かいこう」まで数かぎりない。水深60m以上の調査作業はほとんどROVがやるようになっている。数日前の漁場施設研究会でもROVの撮影が発表に使用される映像の主流になっている。
ROVは、水深150mぐらいまでならば、使いやすいし、頼りになるが、1000メートルとか、深くなると1000mのケーブルが必要になる。これを積み、海に下ろしてケーブルを巻き上げるウインチなどを船に据え付けると、100トン以上の船が必要になる。線のないAUVならば1000m以上の深さでも小さい船で使える。それに、ケーブルによる遠隔操縦は、厳密な意味で、いや、厳密でなくてもロボットとは呼べない。別にロボットと呼ばなければよいだけなのだし、7000mまで探査するJAMSTECの「かいこう7000」をはじめとして、最近の探査機は、小型潜水艇であり、ロボットと呼ぶことに無理がある。
最新ダイビング用語事典のくくりでは、ビークルと呼んでいる。ビークルは、動くものの総称ともいえる。そして、浦先生が、力をいれて話していたのは、複数のロボットを同時に運用することであった。3台を同時につかっていた映像が見せられた。素早く水の中に入れ、すばやく回収できることが問題点といっていた。確かにその通りで、これは実際にオペレーションをやった人でないとわからない。後でこの問題についてはさらに触れる。
AUVに似ているが、推進用の電源などは内蔵していて、細いグラスファイバーで信号を送受する UROV(細径ケーブル無人探査機)もあり、JAMSTECの「うらしま」は、これで「うらしま」も無人潜水艇であるが、これも浦教授の息がかかっている。
UROVは、数千メートルの遠隔操縦ができるのだが、それでも移動範囲には限外があり、複数、を同時展開できるのは、やはり、AUVロボットである。10台も同時運用できれば、絶対的なアドバンテージになる。今、自分が目指しているインターバルオンボードカメラの複数使用も、規模は小さく原始的であるが、ロボットである。手が使えず、採集ができなければロボットとは言えない、ただのカメラであるが、この考え方のながれである。
浦教授は、とにかくこのAUVの日本での一番の権威者であり、東大を退官してからの行き先もJAMSTECの特別主任研究員をはじめとして、九州の大学、もう一つどこかがあって、すべて彼がヘッドのポジションだ。
せめて、挨拶ぐらいして帰ろうと、酒飲み大会の席に岩上君に案内してもらって行ったが、挨拶の行列が長い。この後、遠矢君の送別会があった。目下のところ直接の関係はないし、何かのおりに紹介されるようなことがあれば、退官講演におじゃましたが、行列が長くてあきらめたといえば形がつくだろう。岩上さんには名刺だけ託した。
いずれにせよ、JAMSTECをはじめとして、海の科学の世界の檜舞台から人間が海に潜るダイビングは退場させられてしまった。アメリカのウズホール海洋研究所は、AUVのメッカでもあれば、人間が潜水して研究するサイエンスダイビングのメッカでもある。水深40mまでの浅い海での詳しい調査も研究者の潜水が必須であるし、海についての基本的教養、リテラシーのためにも、人間が自ら潜る潜水のトレーニングが必須である。浦教授の最終講義のPPも最初のカットは、自分がスキンダイビングで潜って、顔を水面に出す動画だった。JAUSは、その間を埋めるべく発足したのだが、壁は高く、自分の時間は切迫していて、力もなく、自分的には絶望している。一生を懸けるべきだった仕事だが、JAUSが発足してたった3年である。せめて、種だけを蒔いてからこの世から去りたいが、
退官教授の講演会は浦先生一人ではなく、5人ぐらいが合同だ。
もっとこじんまりとした会かと思ったが、大きな講堂が満員で立ち見がでている。
いわゆる海洋ロボット、無人探査機は、ケーブルでつながっていて、船の上から遠隔操縦するROVは、すでに完成された技術であり、小はビデオレイ、大は「かいこう」まで数かぎりない。水深60m以上の調査作業はほとんどROVがやるようになっている。数日前の漁場施設研究会でもROVの撮影が発表に使用される映像の主流になっている。
ROVは、水深150mぐらいまでならば、使いやすいし、頼りになるが、1000メートルとか、深くなると1000mのケーブルが必要になる。これを積み、海に下ろしてケーブルを巻き上げるウインチなどを船に据え付けると、100トン以上の船が必要になる。線のないAUVならば1000m以上の深さでも小さい船で使える。それに、ケーブルによる遠隔操縦は、厳密な意味で、いや、厳密でなくてもロボットとは呼べない。別にロボットと呼ばなければよいだけなのだし、7000mまで探査するJAMSTECの「かいこう7000」をはじめとして、最近の探査機は、小型潜水艇であり、ロボットと呼ぶことに無理がある。
最新ダイビング用語事典のくくりでは、ビークルと呼んでいる。ビークルは、動くものの総称ともいえる。そして、浦先生が、力をいれて話していたのは、複数のロボットを同時に運用することであった。3台を同時につかっていた映像が見せられた。素早く水の中に入れ、すばやく回収できることが問題点といっていた。確かにその通りで、これは実際にオペレーションをやった人でないとわからない。後でこの問題についてはさらに触れる。
AUVに似ているが、推進用の電源などは内蔵していて、細いグラスファイバーで信号を送受する UROV(細径ケーブル無人探査機)もあり、JAMSTECの「うらしま」は、これで「うらしま」も無人潜水艇であるが、これも浦教授の息がかかっている。
UROVは、数千メートルの遠隔操縦ができるのだが、それでも移動範囲には限外があり、複数、を同時展開できるのは、やはり、AUVロボットである。10台も同時運用できれば、絶対的なアドバンテージになる。今、自分が目指しているインターバルオンボードカメラの複数使用も、規模は小さく原始的であるが、ロボットである。手が使えず、採集ができなければロボットとは言えない、ただのカメラであるが、この考え方のながれである。
浦教授は、とにかくこのAUVの日本での一番の権威者であり、東大を退官してからの行き先もJAMSTECの特別主任研究員をはじめとして、九州の大学、もう一つどこかがあって、すべて彼がヘッドのポジションだ。
せめて、挨拶ぐらいして帰ろうと、酒飲み大会の席に岩上君に案内してもらって行ったが、挨拶の行列が長い。この後、遠矢君の送別会があった。目下のところ直接の関係はないし、何かのおりに紹介されるようなことがあれば、退官講演におじゃましたが、行列が長くてあきらめたといえば形がつくだろう。岩上さんには名刺だけ託した。
いずれにせよ、JAMSTECをはじめとして、海の科学の世界の檜舞台から人間が海に潜るダイビングは退場させられてしまった。アメリカのウズホール海洋研究所は、AUVのメッカでもあれば、人間が潜水して研究するサイエンスダイビングのメッカでもある。水深40mまでの浅い海での詳しい調査も研究者の潜水が必須であるし、海についての基本的教養、リテラシーのためにも、人間が自ら潜る潜水のトレーニングが必須である。浦教授の最終講義のPPも最初のカットは、自分がスキンダイビングで潜って、顔を水面に出す動画だった。JAUSは、その間を埋めるべく発足したのだが、壁は高く、自分の時間は切迫していて、力もなく、自分的には絶望している。一生を懸けるべきだった仕事だが、JAUSが発足してたった3年である。せめて、種だけを蒔いてからこの世から去りたいが、