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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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1205 「豊かな海」の表紙

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公益法人 全国豊かな海づくり推進協会の機関紙「豊かな海」の表紙写真を撮らせてもらっている。
 今度の号、千葉県のアワビ漁の記事がいくつか載っていた。できれば記事中にある魚介類を扱いたい。それで海女である。海女というと僕にとって数少ない先輩である大崎さんが撮った裸の海女が、このところ本になった。これは昔の話で、今では黒のウエットスーツ姿が海女のユニフォームである。しかし、ウエットスーツを着ると暖かくなって長く潜っていられる。長く潜れば漁獲が増え、獲りすぎで資源が減少してしまう。資源保護のためにウエットスーツは着ない。着たとしても、半袖半パンツまでとか、組合によって制限がある。この写真では、少し厚手のラッシュガードのようなものを着ている。千葉県白浜の海女、海士のユニフォームである。
 モデルは鈴木直美さんで、辰巳の国際水泳場でも泳いでいるし、本職の海女もやっている二足も三足もの草鞋を履いている友達だ。2012年に東京海洋大学の千足先生、山川先生のウエアラブルカメラを使った海女漁の研究で協力してもらった。
 だから、この写真はウエアラブルカメラで撮ったものである。
 ウエアラブルカメラで、しかも動画から切り出したスチルを雑誌の表紙に使ったことは、僕としては、これまでにない。そして、安いウエアラブルカメラだ。心配だが、やってみることにした。今、ウエアラブルカメラを使った漁場の記録も僕のテーマの一つになっている。その記録が「豊かな海」の表紙に使えれば、という狙いもあった。

   下の写真が基 色が違うのは製版の問題で、それほどうるさくない印刷だから、これ写真もつかってくれたのだろうから、仕方がない。

 使ってみようと決断した。
 動画から静止画を抜き出して、超広角だからトリミングもしている。出来上がって、少しばかり、質感が違うが、悪くはない。
 このところ、ウエアラブルカメラがどこまで使えるかということで、2012年以来このカメラを使うことが多くなっている。使えるとなると、表紙のための撮影を別にしなくても良くなる。

 そして、動画から静止画(スチル)を切り出すこと、PCの上で動画を見ながら、切り出すという感じでもう一度シャッターを押す、つまり二度シャッターを押すことになる。複写をしているようで、何かカメラマンとしては卑怯なような気がする。
 カメラマンとは、フィールドで、被写体に向かってカメラを構え、一瞬を切り取ることに命を(生活を)賭ける。
 これでは、カメラマンではなくて編集マンになってしまう。
 しかし、フィルムからデジタルに変わった時に、すべてが変わった。そして、カメラの機能、動画の質が向上して、動画と静止画の区別がなくなったとき、また変化、革命があった。そして、さらにカメラの小型化でもう一つの変革である。
 言うまでもなく、大きいカメラは、オールマイティだ。小さい、安価なカメラは、ひとつの手段、ひとつの道具でしかない。しかし、その道具がどこまで使える道具なのかを確認すること、使える道具ならば、使いこなすことがカメラマンの仕事でもある。
そして、動画と静止画の問題は、最新ダイビング用語事典を編集した2012年まで、「静止画と動画」という項目を作って説明していたけれど、もはやその説明も必要なくなって、動画として見せるか静止画として見てもらい、印刷物に使うかその区別があるだけのことになっている。大きい、100万近くのスチルカメラは、テレビ番組も撮影できる。逆にテレビ番組を作る規格のかめらならば、スチルが撮れる。カメラを構えている人を見て、スチルを撮っているのか、区別はつかない。ストロボが光れば、ああ、スチルを撮っているのだな、とわかる。

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