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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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1027 三脚を立てるー2

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 北海道知床の原生林の中の摩周湖からの地下水の湧出する泉に三脚を立てて撮影している。このいずみについては、月刊ダイバー12月号に書いている。これからすぐに出るので、ぜひ見てほしい。この連載も24回の予定が、今度の11月号で24回、次の12月号では、25回になる。え、?28回までのばしてもらったのだ。24回、無事に連載をつづけなければならない。できるだろうかと思っていたのだが、できた。
 これも、この泉で、毎月12か月を撮って、アイ・エクスピアリアンスにしようという計画だった。夏は良いが冬は、冬は氷が張るだろう。近くの湖は全部結氷する。屈斜路湖も摩周湖も、その凍った泉を撮るつもりだった。湧水だから全面結氷はしないだろう。周囲だけでもドーナッツ状に薄い氷が張るだろう。それを水中から撮る、原生林の樹から漏れてくる陽の光に、氷が輝く。
 

 そんなイメージで来てみたら、氷は影もない。この泉の水温は周年、8度。少し考えれば、凍るはずがない。
 どうしよう。どうやって撮ろうか、何を撮るんだ。頭を抱えた。半水面で雪を撮ると、明るさがまるで違うので、輝く雪の反射を絞ると、水の中が暗くなってしまう。NDフィルターをレンズの下半分に貼ったら、水面と完全に水平にしなければいけない。泉の平らな完全に水平にした。水面に戻ってくると、ディレクターの船井さんが興奮している。すごい。水面を風がちょっとなでたら、小さな水面の動きが、五線紙の上を、音符が動くようにフィルターの境界面で踊っている。「やった!できた。これは三脚を据えなければ撮れない映像だ。

    穴の中、右側は佐藤雅博、右が須賀潮美

 その年、雪が深かった。積もった雪の上に薪ストーブを置いて、毎日原始林の中の泉に潜っていたら、次第に雪が解けて穴になり、知床の定置網ダイバーの元祖、僕の弟子筋の佐藤雅博が、毎日一緒に付き合ってくれて、穴の壁を平らに叩き、階段をつけて、小さな家にして、アルミフォイルに包んだジャガイモを焼いてくれた。娘の潮美は、大学生、知床というと、遊びに連れて行け、と来ている。幸せな時でした。
 人生、幸せな時が昔、グラフィティの昔にあると、相対的に今は不幸だ。しかし、幸せな時間をどれほど過去に持つことができたかが、人の幸せ。死ぬ時まで幸せが続くものでもない。


  現在、今日はお台場の潜水です。台風は過ぎました。今は6時47分、そろそろ今日の潜水の準備にかからないと。。。。

 

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