スノーケリングとスキンダイビング 親と子のスノーケリング教室
スキンダイビング・セーフティという本の、2訂版の校正を終了した。スノーケリングとスキンダイビングのすりあわせにだいぶ苦労した。それぞれの意見の違いがあるから、調整できない。読者に判断してもらうようなことになった。 一方で、浦安市民屋内プールでの、「親と子のスノーケリング教室(全4日間)を終了した。このスノーケリング教室は2000年からなのでこれで、18年目になった。
このスノーケリング教室をはじめたころ、スノーケリングとは、「耳抜きをしない、一応教えるけど、できなくても潜れる深さ、水深、2ー3mまでの深さで、気楽にできる範囲で潜れるフィン・マスク・スノーケルを使って安全第一で潜って泳いで遊ぶこと」となっていた。
しかし、それ以後、2004年頃から、社会スポーツセンターという、自分が常任理事を勉めていた法人が、スノーケリング協会という全国組織を立ち上げ、スノーケリングとは、「安全のために、カポック、発泡スチロールなどの浮力体で作ったジャケット(胴衣)を身につけて、浮き漂って水中を観察したりする遊び」と定義して、水にもぐる素潜りは、スノーケリングではないとされた。
浦安プールには、床が可動式で、水深3mまで深くできる。このプールでの講習が、浮力体を付けて、潜れないのでは成立しない。潜るのだからスキンダイビング教室とすれば、良いわけだが、一度決めた名称というもの、それが、公のものであれば、容易にはかえられない。
それに、周囲では全員泳いでいるプールで、胴衣を着けて浮いている練習などできない。そして、それが成人だった場合には、海ではジャケットを着けてくださいね、と言ったところで、着けてもらえない可能性の方が大きい。それで、親と子のスノーケリング教室ということで、子供は6歳からだが、必ず親子のバディできてもらうことにした。
しかし、子供にしても。プールに浮かしておくだけでは、4日間の講習を持たせることは難しい。それに、こんなスノーケリングなどならいにくる子は、積極果敢に潜りたがる。ならば、どうしても潜りたい、ダイビングしたい子供たちのために、クラブを立ち上げることにした。浦安フリッパークラブの誕生である。
子供が楽しく遊べるように、水中ホッケー、フリスビー(アクアディスク)そして、そのディスクを使ったラクビーもやった。親子対抗のゲームもした。千葉県館山に遠足にも言った。でも、労多くして大赤字で、続ける事ができなかった。ただ、2004年に来た、村上緑ちゃんは、その後も、別にやっている辰巳国際水泳場のスキンダイビング練習会にも参加し、御蔵島のドルフィンスイミングにも、行き、スクーバもならい、今でもGWに行う恒例のツアーでは、僕のサポートをしてくれる。彼女は去年大学を卒業して、社会人2年生だ。
なお、執筆中のスキンダイビング・セーフティでは、スキンダイビングの範囲は、水深10mまでとされていて、水深10mまで潜るとなると、かなりの練習が要求される。また水深10mを超えるとフリーダイビング競技の守備範囲になり、特別な準備をして、専門のインストラクターの指導を受けなければ危ない。
自分自身も、今(84歳の今)水深10mは難しい。海ではせいぜい8mだろう。なにも、10mまでと言っても、10mまで潜らなくてはいけないと言うことではなく、気楽に3m程度まで、潜ろうとする、従来のスノーケリングで満足しても、良いわけだが、やはり、10mというと、練習を積んで、10mまで潜りたい人が多い。
人間の潜る深さには、まず耳抜きが必要な5mに壁があり、次に5mの壁、8mの壁、そして10mの壁がある。無理をするなと言っておけば、浦安のプールは3m、辰巳国際水泳場のダイビングプールの深さは5mだから、5mより深くは潜れないわけで、問題はないのだが。
浦安プールのスノーケリング教室は、水深1。2mまでにして、素潜りもさせて、「海に行くときには、かならず、ジャケットを着けてくださいね」とお願いをして、その要旨を書いたプリントを渡している。
このお願いを守ってくれている限り、このスノーケリング教室は、安全度について、パーフェクトだろう。つまり、1。2mまで潜れる練習をした上で、胴衣を着けて潜らせないのだ。
浦安の、親と子のスノーケリングは、親としては、絶対に子供は手の届くところに、子供としては、親から離れないバディシステムの繰り返し練習をしているので、このバディシステムを守ってくれれば、胴衣を着けている限り安全だろう。
ただ、この胴衣スノーケリングで疑問に思うのは、何時、どのようにして胴衣、ジャケットを脱ぐのだろう、ということだ。このまま胴衣スノーケリングを習った者は、生涯、潜ることなく、水面に浮き漂っているのだろうか? それは、別のスキンダイビング講習会を受ければ、良いわけで、スキンダイビングの講習会も今後は多く開かれるようになるだろう。
しかし、その講習会はどこで、誰が、どんなプログラムでやるのだろう。
スキンダイビング・セーフティ 2訂版では、フリーダイビングのチャンピオンである岡本美鈴がスキンダイビング講習のすすめを書いてくれた。具体的な練習方は海洋大学教授の千足先生が書いてくれている。
ただ、それでも、水深3mを超え、5mを超え10mまで潜るのは独習では危ないという考え方もある。僕をはじめとして、昔の子供は、海辺で素潜りを勝手に練習して、10mを越して潜れるようになったが、その時代は子供の水死をよく見かけたものだ。現在、そんな乱暴なことはできない。
スクーバダイビング指導団体のスキンダイビングテキストもNAUIなどは、良いものを出しているし、やがてPADIも、その他の団体も出すだろう。
たとえば、浮くスノーケリングから、胴衣を脱いで潜るとして、そのスキンダイビングを、スキンダイビングその1、水深3mまで、その2、3mから10mまでとすれば、その1のテキストとして、このスノーケリングテキストガイドは、とても良い本だ。 今日(6月14日)次回の日本水中科学協会のワークショップ、続いてシンポジウムの発表として、元海中公園センター主任研究員の藤原さんに講演をお願いする打ち合わせをした。現在、海中公園センターはもう無い。環境省が予算を打ち切った。2002年で終了した。
その海中公園の中で、兵庫県竹野の海中公園は、スノーケリングセンターである。
竹野スノーケリングセンターでは、ウエットスーツとライフジャケットを着けて泳いでいる。スノーケリング胴衣ではないので50cmぐらいは潜れるだろう。少しは潜れるスノーケリングは健在である。ウエットスーツを着けてウエイトを着けなければ、危険なほどは潜れない。ただ、ウエットスーツは高価で、サイズをあわせなければいけない。そして、子供は成長が早いので、このようなセンターがないと無理だろう。
学校教育、臨海学校ならば可能である。そして、ウエットスーツならば、泳ぎの上達とともに、若干のウエイトを着けて潜るようになることもでき、緊急の時に、ウエイトを落として、対処する練習もできる。落としたウエイトも、決まったエリアの範囲であれば、確実に回収できる。
胴衣を着けた浮き漂うスノーケリングから、胴衣を脱いで、少し、3mぐらい潜れるスノーケリングに脱皮することができる。実はこのことは 200年に行われたエコツーリズムシンポジウムでの発表にも提案されていた。 また、学生クラブなどで、スクーバダイビングに先駆けての練習としてのスキンダイビングは、スクーバに移行してからのAGEを防ぐために、息を吐き出しながらのディスプレースメント浮上を行わせる。この方式では5mを超えると、ブラックアウトの可能性が高くなる。限度を超したためのブラックアウトである。ローカルルールとして、2mを超えないスキンダイビング、学生のスクーバダイビング練習のための、またタンクを背負えなくなった高齢者のための、5mを超えないスキンダイビングを考えて行きたい。
一方で、10mまでのスキンダイビングをインストラクターの指導のもとで、きっちりと練習することもわるくはない。
5mを超え、10mまで潜るスキンダイビングは、きっちりとした指導を受ける必要がある。スキンダイビングの範囲は水深10mまでだが、自由に楽しく、遊ぶのは5mまでである。昔、それをスノーケリングとよんだ。